心拍トレーニング

  • イントロダクション
  • 自分の心拍数と目標心拍数の算出式
  • トレーニング強度とその効果(1)
  • トレーニング強度とその効果(2)
  • 運動強度とトレーニング時間

    − イントロダクション −

    1. 心拍トレーニング
    2. 持久系スポーツにおけるレベルアップに欠かせない有酸素トレーニングは、運動中の「血中乳酸濃度」や「酸素摂取量」といったものを指標にして行われるのが理想です。
      乳酸テストと呼ばれる自転車/ランニング/水泳等の運動を数分間毎に段階を追ってハードにしていき、各段階での心拍数/血中乳酸濃度/酸素摂取量を測定/記録してトレーニング強度を求めるのです。
      このテストは今やスポーツ生理学では当たり前のテストとなりましたが、依然としてかなり複雑で、費用もかかるため、一般の人は中々行う機会がありません。
      過去いろいろなスポーツ選手を対象とした、血中乳酸テストの結果と心拍数の関連を調べ、最大心拍数から計算した特定の心拍範囲と、血中乳酸レベルに対応する心拍数が一致する事がわかりました。
      つまり、最大心拍数がわかれば有酸素トレーニング強度を比較的正確で、簡単に設定できる事がわかったのです。
      私は安静時心拍数も考慮したカルボネン式を推奨

    3. なぜ心拍計(HRM)を使うのか?
    4. 「激しく運動する程心臓が速く打つ」普段の経験から誰もが知っている事です。
      簡単に心拍数を測定する方法は、トレーニング中または直後に首や手首の動脈を押さえ、数秒間数え、それを1分間あたりの数に換算します。
      この方法は簡単ですが、問題があります。まず、運動をやめると心拍数はかなり急激に下がるので、長く計るほど計算した値は不正確になります。また、数える時間が短いと、やむを得ない小さな誤差が1分間あたりに換算した時に大きくなってしまいます。
      例えば、心拍数180拍は6秒で18拍(18×10)、10秒で30拍(30×6)となります。わずか2拍の誤差が、換算時には10や6と言う数字をかけられて、20拍や12拍と言った誤差が生じ、トレーニング強度をモニターする値としては不正確になります。
      HeartRateMonitor(HRM)はレボリューション・カウンターで運動強度を正確に測定します。

    5. トレーニングの要素/強度
    6. トレーニングする上で必要な要素は、どのくらいの「頻度」で、どのくらいの「量」を、どのくらいの「強度」で行うかといったものです。最初の2つは簡単に記録できます。
      しかし、「質」や「強度」はどうやって記録するのでしょう?

      トレーニング強度とは体がトレーニング中に受けるストレスと定義され、自転車では走行速度やパワー出力、ランニングでは「キロ、何分ペース」等と外的強度指標でよく言い表わされます。
      トレーニング強度を示す内的強度指標もあり、心拍数、酸素摂取量、乳酸、アンモニア・レベルと言ったもで表わされます。

      各運動をある日数、同じ時間、同じ距離で行っているかも知れませんが、各トレーニングの強度は路面の状況、天候、体調、フィットネスレベル等の要因によって違ってきます。
      各トレーニングを比較する上でも心拍数は客観的な情報となるのです。

    7. 用語説明
    8. 運動生理学で使われる用語中、心拍トレーニングを行う上で、知っておいた方が良いと思われる用語を幾つかあげてみました。

      LT(Lactate threshold)/乳酸性作業閾値
      無酸素運動の割合が増え始める運動強度すなわち、血中の乳酸レベルが急激に増加する強度を示す。乳酸閾値、個人無酸素性作業閾値とも呼ばれる。

      VT(Ventilatory threshold)
      1分間あたりの呼吸量が急に増えるポイント(ほぼATと同じ強度)。

      OBLA(Onset of blood lactate accamulation)
      一般的にATと呼ぶ(血中乳酸レベル4mmol)。

      LACT(Lactate)/乳酸
      乳酸または解糖系で分解されるグリコースの老廃物。酸素の供給が不足(無酸素性運動後に発生)したり、筋肉中のミトコンドリアの数が少ないと蓄積し始める。

      ATP(アデノシン三リン酸)
      高エネルギーリン酸結合で、筋肉細胞内で再合成される。
      体内のエネルギー源として即利用可能。筋肉に貯蔵されるATP量は限られており、体を動かさない70kgの男性では体内のATP量は50gしかないが、一日に190kg相当必要とする。

      有酸素性運動
      体内で酸素を利用して炭水化物や脂肪をエネルギー源とする運動。
      炭水化物や脂肪は水と二酸化炭素に分解され、酸素によってATPを再合成(注1)。

      注1) 筋肉はその中にATPを持っていて、このATPがADP(アデノシン二リン酸)とPi(無機リン酸)に分解された時のエネルギーによって動きます。
      これ以外の方法で筋肉を動かす事は出来ません。しかし、ATPは量が少ないため、ADPをATPに再合成しなければ運動を続ける事が出来ないのです。

      無酸素性運動
      酸素を利用することなくエネルギーを作り出す運動で、非常に素早くエネルギーを合成するが、供給量は限られており、代謝産物として乳酸が生成されます。
      また、この運動には以下の2つの機構があります。

      1. 非乳酸性機構
        CP(クレアチン・リン酸)の分解エネルギーによってATPが再合成。
        CPを利用して運動できる限界時間は8〜10秒程度。

      2. 乳酸性機構
        筋肉に蓄えられたグリコーゲンが、ATPを再合成するために乳酸にまで分解。
        乳酸が過剰に蓄積されると筋肉は収縮できなくなり、約33秒しかもちません。

      2つを合わせた約40秒が無酸素性運動の限界とされています。
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